~オールドノリタケの技法~ |
アールヌーボーを中心としたオールドノリタケは以下のような技法に大きな特徴を持っています。 |
( 1 )盛り上げ |
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日本に古来から伝わる陶磁器の表面を立体的に装飾する技法ですが、オールドノリタケの場合には、ケーキに生クリームを盛り装飾する方法と同じ理屈で粘土を一陳(イッチン)と呼ばれるチューブのような道具から絞り出して盛り付ける方法が多く取り入れられました。 |
( 2 )一陳による細かな粒状の盛り上げ |
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和陶の世界では粒(チブ)と呼ばれる細かな点を多数盛り上げて装飾する方法。 |
( 3 )金盛 |
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白色泥漿で盛り上げた生地を下地にして刷毛や筆を用いて金を装飾し、800℃の温度で焼成すると金色の盛り上がりと塗り被せたところに金膜が出来上がります。 |
( 4 )石膏型による技法(モールド) |
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石膏が水を吸収することを利用した装飾方法。石膏型に装飾を施して型を作り、泥漿(液状の粘土)を流し込み、石膏が水分を適度に吸収した後に型から生地を抜き出す方法。 |
( 5 )エッチング |
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生地の特定の部分を酸で腐蝕させ、そこに金を施す方法。生地の腐蝕した部分には艶のない金の装飾、生地に腐蝕のない部分には艶の良い金の輝きが装飾される。 |
( 6 )タペストリー |
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布目を生地の表面に表す方法で、生地の表面が乾燥する前の柔らかな時点で生地に布を貼り付けてから焼成する と、焼きあがった後の生地には布目が残ります。そこに、刷毛で彩色を施す方法。 |
( 7 )エナメル盛 |
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エナメルのような光沢のあるガラス状の盛り上げで、顔料により色々な色(ブルー、ピンク、茶色等)が使用されており、金盛と併用してアクセント的に使用された。 |
( 8 )ビーディング |
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盛り上げの技法の一種で、一陳を用いて細かい粒状の盛り上げを一面または限られた範囲に展開する方法で、製品の繊細さと気品を高める効果がある。 |
( 9 )転写技法 |
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同じ絵柄を大量に生産するための技法で、絵柄を印刷した転写紙を素焼き或いは本焼成した生地に貼り再度焼成し製品化する方法。 |
それらの技法以外にも、オールドノリタケのデザインのモチーフ、構図が素晴らしい事、緻密で繊細な仕事による高い品格の製品である事も見逃してはなりません。 |
アールデコとは大正末期から昭和初期にかけてフランスを中心としたヨーロッパとアメリカで大流行した装飾様式です。ノリタケのアールデコにはラスター彩で表現されたきらびやかな製品も多くみられます。それらの作品は食器類ではなく、意匠を凝らした装飾品が多かったようです。
アールデコのグループをさらに分類すると
( 1 )人物図案 ( 2 )動物 ( 3 )植物 ( 4 )風景 ( 5 )幾何学模様 などがあります。
これらのデザインも平面に描いた物の他に立体的に作られた陶製人形や大型の花瓶などの置物があり、オールドノリタケとノリタケの製品にもそれらの形や模様を組み合わせた物を見ることが出来ます。 |